アレルギー
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室内塵アレルギーと小児気管支喘息 : 2.減感作療法について
松田 健一郎
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1964 年 13 巻 11 号 p. 715-722,735-73

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抄録

九大小児科入院の気管支喘息児について, 室内塵エキス(H.D.)による減感作療法を行い, 治療前後の皮内反応の変化, 気管支Acetylcholine(A.ch)感受性の変化, H.D.吸入試験の変化, blocking antibodyの生成, 治療成績について検討を行った.皮内反応の変化は局所的なものにすぎないが, blocking antibodyは30例中26例にその生成を認めた.しかしblocking antibodyの生成とH.D.吸入試験の減弱治療成績との関連ははっきりしなかった.減感作前後のH.D.吸入試験誘発症状の減弱は, 減感作療法精神作業療法併用群は16例中12例に見られたのに, 精神作業療法単独群は6例中1例にしか見られず, また気管支A.ch.感受性の変化に必ずしも関係ないことから, その減弱は明らかに減感作療法の特異効果によるものと思われる.しかし減感作療法により強力な誘発試験にほとんど反応しなくなったものが, 試験的外泊でたゞちに発作をおこしたり, 退院後必ずしも臨床経過良好でないものがあり, 気管支喘息の治療には多元的考察が必要であろう.現在までの私の経験では, 減感作療法精神作業療法併用群, 精神作業療法単独群の治療成績はそれぞれ78.9%(38例中), 80.2%(116例中)であり有意の差はない.

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© 1964 日本アレルギー学会
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