アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
ヒト末梢血リンパ球がヒツジ赤血球と反応してロゼットを形成することに関する基礎的検討およびその酵素処理による変化について
中田 安成有森 茂多田 慎也小橋 秀広市川 幸延
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 22 巻 9 号 p. 594-598,614

詳細
抄録

ヒト末梢リンパ球のヒツジ赤血球付着に関する基礎的な検討と, 赤血球, リンパ球の酵素処理による変化を観察した.ヒト末梢血よりのリンパ球の分離は, Conray-Ficoll法によった.ヒツジ赤血球2個以上付着したものをヒツジ赤血球ロゼット形成細胞(SPBC-RFC)陽性と判定した.健康人の陽性率は32.4±13.0%であり, 重症筋無力症患者の摘出胸腺リンパ球のそれは82.0%であった.リンパ球の直径が5μ以下のものに陽性細胞が最も高率(79.4%)で, 7μ以上のものには2.2%しか認められなかった.使用したヒツジ赤血球は新鮮なものほど陽性率は高く, またヒツジ赤血球とリンパ球を反応させる場合に, 遠沈することにより陽性率は著明に上昇する.ヒツジ赤血球をtryosin papain処理したが, 陽性率に変化はなかった.リンパ球を両酵素にて処理すると, 陽性率は酵素の濃度に逆比例して低下し, trypsinは, papainに比して約100倍の付着阻止作用を示した.すなわち, リンパ球5×10^6個に対してtryosinを1×10^<-3>g, papainを1×10^<-2>g作用させると, 無処理の場合の陽性率54.5±12.5%に対し, それぞれ3.9±1.5%, 2.2±2.1%と著明に減少した.

著者関連情報
© 1973 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top