アレルギー
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Paper Discを用いてのRadioallergosorbent Test(RAST)に関する研究
宮本 昭正真野 健次伊藤 幸治富谷 百合子堀内 淑彦
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1973 年 22 巻 9 号 p. 584-593,613-61

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抄録

paper discを用いてradioallergosorbent test(RAST)を検討した結果, 次のような結果が得られた.1) CNBrで活性化したpaper discは乾燥状態にして-20℃で保存すれば8ヵ月経過しても活性に変化を認めない.2) CNBrで活性化したpaper discと抗原とを結合させるためのincubationは, 時間が長くなるにつれて抗原の結合量は増すが, 一昼夜のincubation timeでほぼ目的が達せられると考えられる.3) paper discと抗原の結合は抗原の溶媒のpHやモル濃度にはほとんど影響されないようである.4) 抗原と結合したpaper discは4℃に保持しておけば, 乾燥状態で保存しても, 溶液にsuspendして保存しても(防腐剤付加), 6ヵ月ではRASTの結果に全く影響がみられない.5) 抗原と結合したpaper discと患者血清とのincubation時間は, 3-10時間でほぼ十分であると考えられる.6) anti IgEとのincubation時間は, 少なくともovernightが必要である.7) RASTの基準曲線は抗原の種類によりある程度ばらつきがみられ, S字状のcurveを描く傾向がある.そこで標準曲線と比較して血清のIgE抗体の半定量を行うには, 被検血清を10倍以上に希釈することが望ましいと考えられる.8) RASTでの抗原の力価と, 皮膚反応での抗原の力価との間にある程度相関がみられる.9) ダニおよび室内抗原を用い, 125名の患者血清についてRASTを行い, isotopeのcountを比較してみたところ, 両者間の相関係数は0.91と高く, 両者間での高い共通抗原の存在がうかがわれた.10) CNBrで活性化したpaper discは蛋白抗原と結合すると考えられる.事実, 蛋白以外の抗原性物質がかなり重要であると考えられるカビ類の抗原などでは, RASTは必ずしも十分ではなく検討の余地がある.11) IgG抗体を半定量するためのRASTはヒトではIgGの血清濃度が高く, solid phaseと非特異的な吸着を起こすので, 動物の場合程はうまくいかない.

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© 1973 日本アレルギー学会
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