アレルギー
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ニュージーランドマウス (NZB×NZW) F_1 の免疫機能の経時的観察
石井 孝子安倍 千之塩川 優一
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1974 年 23 巻 10 号 p. 652-661,707-70

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抄録

多種自己抗体を産生しヒト SLE 類似の免疫病変を自然発症する実験動物モデルであるニュージーランドマウス (NZB×NZW) F_1 を用いて一連の報告を行ってきたが, 今回ヒツジ赤血球 (SRBC) を抗原として注射した場合, 免疫機能が加令および自己免疫病発現に伴ってどのような変化を示すかを plaque forming cell^S (PFC) 検出法, rosette forming cells (RFC) 検出法, 免疫粘着反応 (immune adherence hemagglutination test: IAHA), 凝集反応(hemagglutination test: HA), 溶血反応(hemolytic test: HL) といった方法で実験を行った.その結果, 雌 B/W F_1 マウスにおいて PFC, RFC, IAHA, HA, HL などにみられる免機能が早くから上昇し始め, ちょうどこのマウス特有の諸免疫病変が活発に発現し始める生後4ヶ月頃あるいはそれに先んじて最高値に達し, つづいてその病像が完成する生後8ヶ月頃までには急速かつ著明に低下していくのをみとめた, 免疫病嫌発系の ddY マウスではこのような高値は示さず, また生後8, 12ヶ月に達しても著明なる低下はみられなかった.以上のことから, 臨床においてヒト SLE の発症あるいは発症以前の免疫異常の発見と対策が必要となるであろうことが示唆される.

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© 1974 日本アレルギー学会
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