アレルギー
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喘息患者と健常者とにおける, 静脈内アドレナリン負荷による血中Cyclic AMPおよびブドウ糖レベルの変化の比較
牧野 荘平宮本 昭正真野 健次兼子 俊男
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1976 年 25 巻 8 号 p. 621-625,645

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抄録

気管支喘息の病因として, β-adrenergic受容体の遮断の可能性が近年注目されている.カテコラミンによるβ受容体の刺激は細胞内cyclic AMPを増加させ, 高血糖などの反応を起こし, さらに, 流血中cyclic AMPも増加させる.喘息患者16名と健常人6名を対象として, アドレナリンを0.1μg/kg/minの速度で10分間静脈内に注射した.注入開始20分, 30分後の血糖cyclic AMP値の上昇は19±10%, 15±15%(喘息群)と29±5%, 26±6%(健常群)であった.注入開始10分, 15分後の血清cyclic AMP値の上昇は42±39%, 26±12%(喘息群, N=7)と33±50%, 33±55%(健常群)であった.喘息での血糖反応の低下は仮説に一致するが, cyclic AMP反応は喘息と健常で差異がなかった.両反応の矛盾の原因は不明である.この問題はさらに検討を要すると考えられる.

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© 1976 日本アレルギー学会
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