アレルギー
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喘息児と水泳 : 第1編 呼吸機能について
稲葉 博
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1979 年 28 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

master two step 法(MTS)運動負荷で EIA を発症することを確かめた喘息児10名と, 対照として健康小児8名にプールでの水泳負荷を行い, また, 上記患児を含む喘息児27名と健康者5名に海水での水泳負荷を行い, 水泳と EIA について肺機能の検討を行つた.短距離水泳負荷では %PFP, %FVC, %FEV_<1.0>, %1秒率は, 負荷5分後ではおのおの平均-2.9, -3.8, -7.0, -3.0%で, MTS 負荷で EIA を認めた者でも EIA を認めなかつた.長距離水泳負荷では, %PFR, %1秒率は負荷直後, おのおの平均-4.8, -9.5%であり, その後負荷前値に復する傾向を示した.臨床的に軽度の喘鳴を聴取した者2名を認めたが, 5分後には消失した.15分水泳, 10分休憩を4回繰返す海水水泳負荷では, %PFR は負荷直後平均 6.5%の上昇を認め, 2時間後も平均 5.1%の上昇を認めた.臨床的に27名中5名に EIA を軽度に認めた.うち2名は2時間後も軽い喘鳴を認めたが, いずれも重症児であつた.水泳訓練は喘息児の鍛練療法として推奨されるものであり, 開始にあたつては, 年令, 体力, 重症度を考慮すべきものと考える.

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© 1979 日本アレルギー学会
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