1980 年 29 巻 4 号 p. 179-186
健康成人および気管支喘息患者の白血球をclacium ionophore A23187(CaI)にて刺激すると, 反応上清中にSRS-Aときわめて類似する平滑筋収縮活性物質, すなわちslow reacting substance(SRS)が同定された.このSRSを遊離する白血球の細胞は, 好塩基球および好中球であり, 好酸球, リンパ球からは遊離されなかった.CaIの刺激によるSRSの遊離においては, 細胞相互の作用によって起こる可能性はないと考えられた.好中球1×10^7あたりのSRS最大遊離量は, 好塩基球1×10^7あたりの最大遊離量より少なかった.これらの細胞のSRS遊離能には個体差があることがたしかめられた.気管支喘息患者11名の好中球からのSRS遊離量767±106単位であり, 健康成人好中球のSRS遊離量は355±64単位であった.(p<0.001).この事実は, 好中球由来のSRSが気管支喘息発症に病態生理学的役割をはたしている可能性を示唆する.