ベーチェット病患者の細胞性免疫について, 患者T細胞の mitogen (phytohemagglutinin および concanavalin A; Con A) やB細胞 (自己および同種B細胞)に対する幼若化反応, ならびに Con A 誘導サプレッサーT細胞機能, さらにはサプレッサー機能に強く関連する Con A 誘導自己赤血球ロゼット形成能を検索した.in vitro 増殖反応において, ベーチェット病患者のT細胞は, その臨床症状や病期の活動性の差異に関係なく, いずれの刺激に対しても正常に反応し得た.一方, Con A で誘発されるサプレッサー細胞の産生や, Con A 刺激T細胞による自己赤血球とのロゼット形成能については, "前発作期"で両者の機能に著明な障害をみた.これに対して, すでに発作期に移行した時期のリンパ球, ならびに緩解期のリンパ球では, Con A 誘導サプレッサー機能および自己赤血球ロゼット形成能は正常域に回復した.これらの成績は, サプレッサーT細胞の機能低下がベーチェット病にみられる活動性病変の維持に対してではなく, その病変発症に関与していることを示唆している.