アレルギー
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小児の免疫性疾患における血中Complexed IgEについて : 第1編 アナフィラクトイド紫斑病および川崎病について
津田 正晴
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1981 年 30 巻 12 号 p. 1123-1131

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抄録

著者らはすでに, ゲル濾過法および4% polyethylene glycol 沈降法を用いて, 血中 complexed IgE を含む分画の検出法を報告した.そこでアナフィラクトイド紫斑病および川崎病について4% polyethlene glycol 沈降法を用いて, 血中の complexed IgE を含む分画 (PEG precipitated index, PP index) と臨床経過の関連性について検討した. 1) 両疾患において血清 IgE 値は病初期に高値を示し, アナフィラクトイド紫斑病では経過とともにやや低下する傾向にあり, 川崎病の一部の症例では第2 3病週に一時的な血清値の上昇がみられるが, 約半数例で経過とともに低下する傾向がみられた.これらに比して IgE PP index 値は病初期高値を示し, 経過とともに著しく低下した.これは IgE PP index 値が血清 IgE 値に比してよ 臨床経過を反映しているものと考えられた. 2) アナフィラクトイド紫斑病で, 肉眼的血便がみられ消化器症状の強かった症例, 腎炎を合併した症例および出血斑の再燃あるいは丘疹様出血斑の出現した症例では, 順調に経過した症例の IgE PP index に比較して高値であった. 3) 川崎病の死亡例では IgE PP index が病初期より高値を示し, 経過中高値を持続した.以上の結果から, 4% PEG 沈降法で得られる分子量の大きな IgE が血中で mmune complex を形成しているのかあるいは aggregate した形で存在しているのかは現時点では不明であるが, このような分子量の大きな IgE が両疾患の臨床像を反映していることは非常に興味深く思われた.

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© 1981 日本アレルギー学会
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