1981 年 30 巻 12 号 p. 1132-1138
サイログロブリン (Tg) 被覆ヒツジ赤血球 (SRBC) を target とした間接型プラック法によって, 橋本甲状腺炎患者抹消血リンパ球から産生される抗 Tg 抗体産生細胞を検出した.この方法の要点は, ポリスチレン系樹脂カラムで分離したT細胞を用いることによって, SRBC ロゼット法によって分離した場合に起こる SRBC 抗原によるT細胞の感作をさけることができたこと, non T 細胞から SRBC-binding cells をロゼット法により除去する工夫を加えることにより SRBC 自身に対する抗体産生細胞の出現を減少させ出現してくる少数の Tg特異的プラック形成細胞 (PFC) を検出しやすくしたことである.この方法により, 血清抗Tg 抗体価の高い患者リンパ球から 2×10^5個 non T 細胞当り, 20個以上の PFCを検出したが, 健康者からの PFC はみなかった.この反応は患者T細胞に依存した.健康者のT細胞あるいは PFC を産生させない患者T細胞は他の患者リンパ球からの抗体産生を抑制したが, 有意の PFC を産生させた患者T細胞は抑制しなかった.これは, 健康者の Tg特異的サプレッサーT細胞機能の存在と患者でその低下を示唆した.