(目的) 特徴的な2つの determinant:抗原結合部位と I-J 遺伝子産物をもつ抗原特異的抑制T細胞因子の分子構成の解明と, その同定を行い, 構造と機能との関係を考察した. (方法および結果) 抑制因子を産生するT細胞融合株を樹立し, その産生する因子を解析した.この抑制因子は抗原結合能と I-J 遺伝子産物をもつ.抗VH抗体で吸収されることから, その抗原結合基は VH 類似構造と思われる.S-S 結合を還元開裂する実験から, 抗原結合基をもつ分子と I-J 遺伝子産物は2本の独立したポリペプチドであること, また逆に再構成させる実験から, 2本鎖の結合は抑制活性発現に不可欠であることが明らかになった.SDS-PAGE による解析から, これら2本鎖は分子量45000, 25000ダルトンのレクチン結合性の糖蛋白で, 前者が抗原結合分子, 後者が I-J 分子であると思われる.