1987 年 36 巻 6 号 p. 306-312
7頭のビーグル犬において, ozone吸入後に惹起される気道反応性亢進に対するPAF特異的拮抗剤(CV-3988)の影響について検討した.7Hz oscillation法によるアストグラフ(一部改変)にて, ozone吸入前後におけるメサコリンに対する気道反応性を測定し, 同時に血漿TxB2値及びBALF中細胞分画及びTxB2値の変化について検討した.ozoneは2.6±0.11ppm (mean±SE)にて2時間暴露を行った.ozone吸入後, メサコリンに対する気道反応性は有意に亢進し (p<0.05), 同時に血漿TxB2値及びBALF中好中球及びTxB2値の有意な上昇が認められた(p<0.01).PAFの特異的拮抗剤であるCV-3988前投与により, ozone吸入後の気道反応性亢進は有意に抑制され(P<0.05), 同時にBALF中好中球(p<0.05)及びTxB2値(p<0.01)も有意に抑制された.血漿TxB2値はCV-3988により抑制傾向が認められた.以上より, イヌにおいてozone吸入後に認められる気道反応性亢進には, PAFが関与しているものと考えられた.