アレルギー
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気管支喘息患者の吸入療法に関する心身医学的研究 : 第1編 アンケート調査についての検討
入江 正洋木原 廣美川村 治子久保 千春十川 博手嶋 秀毅中川 哲也
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1991 年 40 巻 10 号 p. 1297-1309

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抄録

56例の気管支喘息患者について, β刺激剤の定量噴霧式吸入器(MDI)に関する, 心身両面に及ぶ17項目からなるアンケート調査を施行し, 以下のような結果を得た. 1) 頻回にMDIを使用するのは神経症型の症例が多く, 重症化や罹病期間とともに増加していた. また, 不安の関与もうかがわれ, 吸入回数が多くなるとかえって増悪する場合も認められた. 2) 呼吸困難や喘鳴がなくてもMDIを使用する症例が半数にみられ, 神経症型や心身症型が多く, そのうち不安のために吸入する症例は, 罹病期間とともに増加していた. 3) MDIが手元にない場合, 78%もの症例が不安を感じ, 62%の症例が実際に発作に至っており, その多くは神経症型や心身症型の症例であった. 4) 60%の喘息患者は吸入を他人に見られるのを嫌がり, 73%の喘息患者は人のいないところで吸入していた. 5) MDIが効果ない場合, 発作時や発作後に不適切な対応をとる症例が認められた.

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© 1991 日本アレルギー学会
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