1992 年 41 巻 11 号 p. 1547-1560
白血球遊走因子であるfMLP (formyl-methionyl-leucyl-phenylalanin) を, モルモットへ吸入および気管内注入をおこない肺組織好酸球浸潤と気道反応性について検討をおこなった. 予備実験としてfMLPをモルモット麻酔, 気管内注入後6時間おいて10^<-4>Mにより強く肺組織に好酸球浸潤を認めたため, 10^<-4>M濃度を用い以下の実験をおこなった. モルモット自然呼吸においてfMLP吸入後, 6, 24時間に特に肺組織好酸球浸潤を認め, 電顕において気管上皮損傷および上皮線毛脱落, BAL液中の好酸球形態的変化が認められた. さらにヒスタミン吸入による気道反応性亢進が認められた. これら好酸球浸潤についてPAF拮抗薬CV3988, WEB2086では抑制が認められず, 5-lipoxygenase阻害剤AA-861にては, 有意に抑制されなかった. この実験系において肺組織好酸球浸潤は, 主にfMLPによる直接作用によるものと考えられた. これらの結果より非免疫刺激においても, 肺組織好酸球浸潤は, 気道損傷をおこし, 気道反応性亢進をおこす原因となることが確認された.