アレルギー
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小児期におけるスギ花粉感作の研究 : 第2編 スギ花粉特異IgE抗体と特異IgG4抗体の臨床的検討
高木 学
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1992 年 41 巻 11 号 p. 1540-1546

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抄録

スギ花粉抗原による減感作療法を受けていない小児340名におけるスギ花粉特異IgE抗体 (IgE抗体) をRAST法で, 及びスギ花粉特異IgG4抗体 (IgG4抗体) をELISA法で測定し, 臨床症状との関連性を検討した. IgE抗体がRAST score 2以上を示した児が52名 (15%), IgG4抗体が101mu/ml以上の児が44名 (13%) だった. IgE抗体陽性群では陰性群に比べてIgG4抗体値は有意に高かった. スギ花粉症の症状保有率を比較すると, IgE抗体陰性でIgG4が100mu/ml以下群では症状保有率は13.3%と低かったが, IgE抗体陰性でIgG4抗体高値群, IgE抗体陽性でIgG4抗体低値群, IgE抗体陽性でIgG4抗体高値群の3群はいずれも50〜62.5%で高かった. 特にIgE RAST score 4を示した5名, IgG4 201mu/ml以上を示した6名では全例に症状を認めた. IgE抗体が低値でIgG4抗体が高値の症例に比較的高い症状保有率を示したことよりIgG4抗体がreaginicに作用している可能性が示唆された. スギ花粉症の診断にはIgG4抗体の測定も有用である.

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© 1992 日本アレルギー学会
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