気管支喘息重積状態の患者7症例に対してmethylprednisolone (MPS) 大量を併用し, その投与前, 投与後3, 6時間および14日後における補体活性, 補体成分蛋白量, そして補体分解産物の定量を行い, 次の結果をえた. MPS投与前における補体活性では, C4活性とC1INH活性の低下が認められ, これらはMPS投与後6時間で正常化した. そしてAC50の低下が6時間後に認められ, またD活性の低下が3時間後, 6時間後に認められ, 14日後には前値に復した. 補体蛋白量では, PとHが各時点で減少しており, C1sがMPS投与後6時間で減少を示した. 補体分解産物では, iC3bが各時点で増加しており, またBbの低下傾向がMPS投与後14日で認められた. anaphylatoxinのうちC3aはMPS投与後14日に正常化したが, その他の時点では増加していた. 上記の補体パラメーターP, B, iC3b, C3aの変動より, 喘息重積状態に関与する補体経路は, 主に補体第2経路であり, またC1sの活性化を介したC1 by-pass経路の関与も想定された. またMPSの示した補体作用は, 投与後3時間で認められたDの活性化阻止作用および投与後6時間で認められたC1s活性化阻止作用とC1INH活性増強作用であった. これらの抗補体作用が, 補体第2経路の活性化と古典的補体経路あるいはC1 bypass経路の活性化を抑制し, 喘息重積状態の改善に関与するものと考えられた. またこうした補体系の活性化物質として免疫複合体の関与が推定され, 今後の検討課題と考えた.
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