アレルギー
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塩化リゾチーム製剤によるアナフィラキシーショックに対する検討
山田 節中村 弘典笹本 和広山田 恵三島 健安枝 浩信太 隆夫飯倉 洋治
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1993 年 42 巻 2 号 p. 136-141

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抄録

卵アレルギー児および卵アレルギーを有さないアレルギー児について抗鶏卵白リゾチーム (HEL) 特異IgE抗体について検討した。卵アレルギー児39名中抗HEL特異IgE値が0.34 (PRU/ml) 以上を示した患者は30名で, その平均値は16.37±29.59 (PRU/ml) であった。またRASTスコア2以上を示したものは39名中26名 (66.7%) であった。一方, 非卵アレルギー児44名中抗HEL特異IgE値が0.34 (PRU/ml) 以上を示した者は12名で, その平均値は1.08±0.92 (PRU/ml) であった。またRASTスコア2以上を示したものは44名中5名(11.4%) で卵アレルギー児に比し高年齢児に認められた。HEL製剤を服用しアナフィラキシーショックを起こした2歳男児を経験し, 血清抗HEL特異IgE 値1.0 (PRU/ml) を認めた。卵アレルギー児および非卵アレルギー児の抗HEL特異IgE値の検討結果と, アナフィラキシーショックを起こした症例の抗HEL特異IgE値から, 非卵アレルギー児においてもHEL製剤投与により充分アナフィラキシーショックを起こし得るものと考えられた。以上より卵アレルギー児ばかりでなく非卵アレルギー児に対してもHEL製剤は慎重に投与すべきであると考えられた。

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© 1993 日本アレルギー学会
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