アレルギー
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ブタクサ属 (Ambrosia spp.; Ragweed) 花粉飛散量の増加について : 埼玉県における秋期の主要アレルゲン花粉飛散状況の推移
菅谷 愛子津田 整大口 広美
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1997 年 46 巻 7 号 p. 585-593

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抄録
埼玉県坂戸市で秋期に飛散する空中飛散花粉の調査をおこない, ブタクサ属, イネ科, カナムグラ, ヨモギ属の花粉について14年間の年次経過による変動を検討した。1.ブタクサ属花粉の年間飛散総数は明らかに増加傾向にあり, 特に1991年以後の増加が著しい (1983年の飛散数に対して, 1991年は8.8倍, 1996年は18.6倍)。このようなブタクサ属花粉の増加は, 花粉産出量が多いクワモドキが放置されたままになっている河川敷で著しく繁茂し, その周辺にまで拡がったことが原因と考えられる。2. 同時期に飛散するカナムグラ, ヨモギ属, イネ科花粉はそれぞれ1983年に対してカナムダラ花粉は1991年0.95倍, 1996年0.5倍, ヨモギ属花粉は1991年0.68倍, 1996年1.5倍, イネ科花粉は1991年1.3倍, 1996年1.4倍でいずれも多少の変動はあるがブタクサ属花粉ほどの増加は認められなかった。花粉症との関連からも環境の変化に伴うアレルゲン植物の生育状態の変動も見逃してはならないと考える。
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© 1997 日本アレルギー学会
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