西日本皮膚科
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症例
水疱性類天疱瘡
—剖検にて橋本病の合併が疑われた1例—
牧野 公治前川 嘉洋三角 修子村山 寿彦山下 建昭
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ジャーナル 認証あり

2006 年 68 巻 4 号 p. 371-374

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抄録
88歳,女性。前医入院中の2002年5月頃から全身の発赤腫脹があり,プレドニゾロン1日10mgなどの内服にて治療していた。2002年8月に上部消化管出血を来し,プレドニゾロンを中止したところ皮膚症状が悪化したため,2002年9月当科に入院した。全身の紅斑浸潤,四肢の緊満性水疱,浮腫を認め,生検にて表皮下の水疱と好酸球浸潤,蛍光抗体法で基底膜部のIgG沈着を認めたため,水疱性類天疱瘡と診断した。塩酸ミノサイクリン及びジアミノジフェニルスルホン内服等で水疱は上皮化した。しかし,入院20日目頃より呼吸困難を来し,30日目に死亡した。剖検にて,死因は敗血症と診断されたが,甲状腺濾胞の萎縮,濾胞上皮の好酸性変化,間質への細胞浸潤が認められ,橋本病の合併が示唆された。
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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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