2001 年 50 巻 7 号 p. 629-635
空中花粉調査における染色封入方法は施設ごとに異なっており測定される花粉数に差異が生じている.スギおよびヒノキ料花粉数の測定において染色封入方法が与える影響について検討した.Durham型補集器2台を同一場所に設置し,台上にワセリンを塗布したスライドグラスを置き,24時間空中に曝露した.Calherla染色法(C法)とgentiana-violet-glycerin jelly法(G法)を用いて花粉数を測定した.C法が花粉シーズン中の観察開始から終了までの期間が長く花粉の検出に優れていたC法とG法による花粉数には,有意に相関が認められた(p<0.001).C法によるスギおよびヒノキ料花粉数はG法によるそれぞれの花粉数の38.7%,120.3%増しであった.花粉調査には全国統一してCalberla染色を使用することが望ましい.また,花粉数を公表する場合には捕集法と染色封入方法を併記することを推奨する.