抄録
我々は函館における花粉症の鼻および眼症状につき検討した.函館では1995年および1998年にスギおよびヒノキ科花粉が多く飛散した.1995年および2001年にはシラカバ属花粉も多く飛散した.1999年7月から2002年5月では3〜6と9月に花粉症患者が多かった.641例の鼻アレルギー患者における特異的IgE陽性率はハウスダスト,ダニが73.5%,ヨモギが28.5%,イネ科のカモガヤが25.7%,シラカバが14.2%およびスギが21.2%であった.2001,2002年の95例の花粉症をスギ(49例),シラカバ(11例),イネ科(18例),およびヨモギ(17例)の4群に分けた.全般重症度は(-)から(+++)の4段階に分類した.全95例では鼻症状の全般重症度が中等症((++)と(+++))以上は86.4%であり,群間の差は認めなかった.結膜炎のそれは56.8%であり,シラカバとイネ科花粉症がスギ花粉症より有意(P<0.01)に重症であった.結論として,函館の花粉症では眼症状より鼻症状が重症であり,花粉の種類により眼症状に差を認めた.