アレルギー
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COPDと喘息の鑑別と治療の進歩
永井 厚志
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2004 年 53 巻 12 号 p. 1181-1183

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抄録

気管支喘息やCOPDは, 我が国においていずれも700万近い患者数が推定され, 臨床症状も類似しており鑑別診断にしばしば迷う例も少なくない. 両疾患の定義は必ずしも満足すべきまでには至っていないが, いずれもが慢性の炎症によってもたらされ, 呼吸機能検査で気流閉塞としての異常がみられることは共通している. これらの疾患を鑑別診断する際に参考となる基本事項は, 気管支喘息が(1)全年齢層(2)発作性の呼吸困難(3)アレルギー歴(4)家族歴(5)季節性や時間性(6)口あえぎ呼吸などが挙げられるのに対して, COPDでは(1)喫煙歴(2)高齢者(3)体動時呼吸困難(4)口すぼめ呼吸(5)上下の胸郭運動などが特徴的である. いずれの疾患においても国内外で診療ガイドラインが作成されているが, 近年は, 国際ガイドラインGINA1)とGOLD2)が新知見を加えて版を新たに公表された. 気管支喘息(GINA2002)では, 重症度分類を適切な治療が得られていないときの臨床所見, あるいは喘息をコントロールするために必要な薬剤の量に基づいて4段階に分類したことが特色である.

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© 2004 日本アレルギー学会
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