アレルギー
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原著
横浜市西部地区における双方向クリニカルパスを用いた,気管支喘息病診連携の現状
大山 バク粒来 崇博駒瀬 裕子小野 綾美村岡 弘海篠崎 勇輔西山 和宏上野 純子西 由紘沼田 雄薄場 彩乃山口 裕礼檜田 直也
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2022 年 71 巻 8 号 p. 934-943

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抄録

【背景】横浜市西部地区の基幹施設である当院では,双方向連携パスを用いて気管支喘息患者を近隣の実地医家の医師と共に診療している.実地医家による普段の診療と緊急時あるいは年一度の精密検査により,受診しやすさと救急対応および正確な診療の両立を目指している.

【目的,対象】2009年1月から2018年5月までに当院の気管支喘息双方向クリニカルパスを導入しかかりつけ医に紹介した患者を分析する.

【結果】288例(女性201例)が抽出された.連携継続が188例,連携終了が37例,連携脱落が63例であった.脱落率は連携開始直後(9.37%)が最も高かった.連携終了の理由は悪化による治療再調整,他疾患の治療による終了が多く,脱落理由は低アドヒアランス,高齢化,軽症のためであった.連携回数別の継続,終了,脱落頻度の比較では有意な傾向があり(x2:26.053,p=0.0106),1回での脱落が有意に多かった.連携二回目時点で継続群,終了群,脱落群で比較すると,脱落率は15.6%であり,継続群に比較して有意に年齢が若く(p=0.0067),罹病期間が短かった(p=0.0095).連携回数別の救急外来受診,入院の頻度は連携開始直後に多かったが,有意な傾向は認めなかった.

【考案】188症例(65.2%)で連携が維持され,連携終了症例でも適切な対応がなされていた.脱落は初回に起きやすく,配慮が必要と考えられた.

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© 2022 日本アレルギー学会
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