2013 年 49 巻 1 号 p. 137-142
エチオピア中部の干ばつ常襲地域では,高収量かつ干害耐性の放任受粉品種が導入されたにもかかわらず,トウモロコシの単収が低い.収量が安定して種子の再生産が可能であるトウモロコシ放任受粉品種が勧奨され,品種の選抜と伝播に農民を取り込んだ農民参加研究グループが研究・普及手法として実施されている.本研究の目的は,農家聞取調査によって収集したデータをロジットモデルで分析し,トウモロコシ放任受粉改良品種の採用を規定する要因を明らかにすることである.分析の結果,トウモロコシ放任受粉改良品種採用において,農地面積及び農民参加研究グループは採用を促し,最寄り穀物市場までの距離及び干ばつ頻度は採用を抑えていた.エチオピアの他の干ばつ常襲地域では,干害による低い単収という問題をトウモロコシ放任受粉改良品種採用の向上によって解決する場合,農民参加研究グループという研究・普及手法は有効である.