農林業問題研究
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個別報告論文
中山間地域振興における地域特産物づくりとイベントの活用
―振興策の現状と課題,来訪者の評価分析―
亀山 宏柴田 裕子
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2015 年 51 巻 2 号 p. 134-139

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1. はじめに

香川県では地域特産品の開発による振興策が取り組まれてきた.県内は平坦部が広がっており,中山間地域は徳島県との境である南部地域に限られている.こうした中山間地域の振興策として,第1に,地域資源を活かした特産品づくりを進め,第2にイベントを開催して地区内外の来訪者に地域の魅力を紹介し,行政による地区の振興策に理解を得て,支援者を獲得することに取り組んできた.

既往の研究として,地域振興策を検討しているうえで地区内外の支援者を確認し,必要に応じて外部の人材を求めることが注目されている.徳野(2007)は,「T字型集落点検」として「近接別居」により地区外居住者からの支援に将来の集落の行き末を再考することをすすめている.つまり,家の跡継ぎの息子が遠方にいる場合に家はなくなると考えがちだが,もし,近くに嫁に行った娘がいれば,比較的頻繁に家族と共に実家を訪れるなど,高齢者が独居でも生活を続けることはできるとしている.渋谷(2009)は,地域資源概念との比較に基づいて生活文化キャピタルを定義し,地域の豊かさの特徴に論究している.本研究取り上げる自然薯や桑の葉の活用をめぐって支援ネットワークが機能していることにもつながる.さらに,小田切(2013)は,若手中堅の担い手が見当たらない場合などでも,必要に応じて外部の人材を頼ることで振興できるなど,地域資源をベースとする内発的な農村再生における人材支援の重要性を指摘している.

本研究の課題は,地域振興策の現状と課題,イベント来訪者の評価をとおして,本地区にとっての有効な取り組みを明らかにすることである.

まず,2009年に中山間地域の振興策(生活インフラと鳥獣害対策,特産品づくり)についての現状と課題について聴き取り取りを実施した.聞き取るグループを①自然薯研究会,②さぬき市内の菓子店,③JA女性部,④さぬき市生活研究グループ,⑤さぬき市農林水産課,⑥香川県農協,⑦普及センター,に分け,本学農学部の生産科学コースの3年生47名を各グループにおいて,現状認識,問題点把握,解決方法について順序立てて聞き取りを行った.

次に,2011年12月に「じねんじょまつり」への来訪者に,①居住地,②来訪の目的,③全体の評価ほかについて意向調査を実施し,第1にコレスポンデント分析など基礎的な分析,第2に順序プロビット分析を用いて,自然薯祭りの全体の評価に影響を与えている要因を明らかにした.

2. 調査対象事例の概要

2002年の市町村の合併以降,南北に広いさぬき市では海の牡蠣,ワイン,桑の葉を利用した菓子,卵などの特産品や商品開発を支援している.特に,地理的な条件から鳥獣害の対策が求められている.

さぬき市大川町南川地区は,スーパーやコンビニへは地区の北の広域幹線道路沿線の沿線にあり,車で約10分かかる程度で,高齢者がすぐさま生活上の不便さを感じることはない.ただ,東西を里山に囲まれた谷合に位置し,人口減少と高齢化が進んでおり,限界集落とみられている.獣害の被害が深刻で,イノシシやサルの被害が大きい.主な被害作物はサトイモやスイカ等(イノシシ),果樹や水稲等(サル)である.近年はアライグマやハクビシンの被害も増えてきており,対策が求められている.

本地区では,地域に自生した自然薯を転作作物として栽培をはじめ,1989年に自然薯研究会を結成し,2009年には23名,転作田2 haで産地を形成した.現在,年間10 t生産している.産地直売を基本として販売促進のために2000年から自然薯祭りを12月初旬に開催している.地元香川県を中心に広く毎年4,000人程度の来訪者をむかえる.このほか自然薯初掘りイベントに報道陣を呼ぶなどして周知に努め,生産者の生産意欲の維持につながっている.

地域内の20 haの桑園がサルの格好の餌場,生活圏となっており,近年,被害が拡大している.そこで,普及センターでは2005年から桑自然薯プロジェクトを結成し,自然薯研究会,桑園の所有者である香川県農協,さぬき市,さぬき市商工会,さぬき市生活研究グループ,JA女性部等と連携し「サル去るキャンペーン」を展開し,放任桑園の伐採とヤギの移動放牧による桑園下草管理試験を実施してきている.また,桑茶,桑葉粉末,自然薯粉末,桑かりんとうを製品化し,道の駅やJAの産直市などで販売されている.しかし,根本となる計画的な桑園管理の意識が関係機関の間で十分醸成されていなかった.以上は,乙井ほか(2009)林(2009)による.

3. 地元の関係者からの聞き取りとSWOT分析

(1)では,①自然薯,②桑茶,③桑粉末,④お菓子,⑤県市農協の現状・良い点・問題点について,聴き取り内容を整理した.(2)では,これらをもとに,SWOT分析によって,内部と外部とについて,強み,弱み,対策を整理した.

(1) 地域特産物づくりの現状と課題

1) 自然薯

現状としては,PR活動として自然薯祭りも実施し,道の駅や自然の家での販売,JA祭りに出店している.高品質の自然薯への需要が充分に多く,宣伝活動をあまり行っていない.若い人がいない.コメ・野菜も作っている.コメとの輪作体系で,連作障害の解消を図っている.

良い点としては,雨がたくさん降らなくても育てられる.畝に横にしたパイプに種芋を入れ無菌で育てる.太く栄養価が高く滋養強壮効果がある.粘り気が強く糖度が高いなど,他産地と比べ品質が良い割に安価である.郵便局のお歳暮商品である.高規格以外のものは粉末にして,市内の和菓子屋にてまんじゅう,カステラ販売している.市内の贈答用品として重宝されている.

問題点としては,栽培に機械が利用できない.無菌土が高価である.需要に供給が追い付いていない.粉末も手間がかかる割に安い.高齢化が進み,後継者が不足している.ほとんどの人が副業で自然薯栽培をおこなっている.

2) 桑茶

現状としては,桑茶入りのお菓子に使っている.かつて蚕の餌として利用されていたが桑を放置してきたため,サルなどの個体数の増加している.高木化し捕獲も困難である.地方紙,テレビで取り上げられ,フリーマーケットでも販売されている.口コミで広がっているなども販売されている.地産地消を目的とした生産を行っている.桑茶栽培のためには低木化が必要で,獣害対策にもなる.

良い点としては,健康に良く桑茶の機能性が高く,健康に良いなど薬効が期待できる.粉末をいれたお菓子の評判も良い.地元では話題になりよく売れている.

問題としては,光が当たると品質が落ちる.放置された桑の実をサルが食べにくる.桑園を整備してもサルが増える.桑園面積拡大が難しい.一部しか低木化を行っていないため,獣害対策に大きく役立ってはいない.イノシシ・サルの群れの増加.雑草の刈り取り.高齢化で作業が大変であり,人材が不足している.生産を始めて間もないため,生産量が追い付いていない.JAには茶を作るための機械がなく,茶メーカーに乾燥作業を委託している.

3) 桑粉末

現状としては,シフォンケーキ,蒸しパン,うどん,おはぎ,アイスへ利用している.シャーベットなどのお菓子への利用されている.道の駅で販売されている.最近に販売が開始された.一部地域限定で販売を行っている.

良い点としては,比較的コンスタントに売れている.お菓子に入れると色がきれいで,機能性も高く,お菓子の評判が良い.色々な料理に混ぜて,色合いを楽しむことができる.

問題点としては,生産が,需要に追い付かない.生産量が少なく安定もしない.桑園の管理が難しく,現段階では自分たちで桑の管理ができていない.

4) お菓子

現状としては,JA女性部が「かあさん茶屋」で桑茶のカリントウやシフォンケーキを作って販売している.桑の実ジャム.シフォンケーキ,ロールケーキ,パウンドケーキなどに自然薯粉末や桑粉末を利用している.桑パウダー入りのチョコレートを考えている.Twitterの利用を模索している.自然薯焼,桑の葉を練りこんだパウンドケーキ,抹茶に似た発色で,ロールケーキ,饅頭,かりんとうなどに使われている.桑粉末の緑色の発色がよい.

良い点としては,桑粉末,自然薯ともに健康面に良い.お菓子を作ることで,さぬき市の南部が注目され,地元の人が元気になるかもしれない.自然薯には,山芋とは違ったモチモチ感がある.皮つき自然薯の粉末を利用する.自然薯粉末を加えると触感がもちもちとする.地元の生産品を利用できている.体に良いらしい.口コミで広まり,売れ行きは上々,などである.

問題点としては,桑の葉の知名度が不足している.発色には量がいる.生地がパサつきやすい.平均的な抹茶とほとんど値段が変わらず,コストからみると抹茶を使ったほうがよい.蛍光灯の光で茶色っぽくなる.買う人が限定され新規で買う人がいない.桑の葉の成分分析が行われておらず,抹茶との差別化がはかれない.抹茶と比べて色の劣化が速い.機械化して大量生産するための費用がない.自然薯の収穫時期は短く一年を通して商品として売れない.自然薯は菓子に使いにくい.自然薯はパウダー化すると栄養素が飛んでしまう.コストが大きいため利益が少ない.

5) 県市農協

現状としては,地域活性化とサル,イノシシ被害の対策で自然薯桑プロジェクト進行中.インターン生の支援を得て収穫祭を催している.イノシシやサル1頭につき1万円の謝礼を払う事業を検討中である.アライグマの駆除にも助成金をつけている.桑を伐採し低木化するための資金,葉を粉末にする機械を支援が必要で,草刈りや低木化面積の拡大を検討中である.ブランド化している南側の自然薯を維持できる.桑園管理の補助を出している.基本的に地産地消を目的とした活動を行っている.

良い点としては,手作り感,こだわり感.PRにあまり経費をかけない方法を用いるなど,財政の工夫をしている.県,市の職員を生産農家が協力して生産をすすめている.

問題点としては,自然薯や桑での専業事業だけでは十分な収入にならず作り手を確保できない.財政赤字と資金減少で補助金のあり方を見直しが迫られている.桑,自然薯ともに収量が少なく知名度も低いのでブランド化が難しい.

(2) SWOT分析

内部と外部とについて,強み,弱み,対策を整理したものである.

1) 内部

強みとしては,特産物生産による地域の活性化(地域振興).健康に良い.健康食品としてアピール可能.抹茶よりも発色が良く色がきれい.調理の幅が広がる.健康食であり滋養強壮効果がある.高品質の材料を使える.品質に定評がある.需要が高い.口コミで広がる.良い品質を維持できる.購入者が定期的に訪れる.売れ行きは良い.特産物の普及を支援することで市のPRになる.男女共同参画の確立.地域の連携がとれている.

弱みとしては,農協職員の高齢化で人手不足である.生産者の高齢化で後継者不足が深刻で,生産数が伸びていない.生桑葉から少量しか得られない.低木化面積が少ない.収穫量(桑葉)が不安定.需要に供給が追い付かない.

対策としては,JAや行政と地域の人々との連携.現状,対策法を知るための研修会をする.若者が生産に入れるような支援対策をとる.生産者との意見調整の機会を増やす.若者に向けて新たな生産者確保のためのPR活動を行う.地元出身の若者や退職者などが後継者になる.ボランティアを募集する.消費者の声を傾けた商品開発に心がける.獣害対策を強化する.生産者同士が協力して集団で獣害対策をとる.電気柵,網,トタン等での防護,保存・貯蔵の研究改善を進める.調理方法の工夫.市の助成金.桑の葉の健康成分の解析.地区外の人にも遊休地の貸し出しを行う.インターンシップの活用.生産ラインを確保し拡大.生産現場の活性化.生産量の増加.大規模施設の導入,などである.

2) 外部

機会,脅威,対策について整理した.

機会について,健康食ブーム.道の駅ブームである.温度差が高い気候で自然薯生産に適している.ブームの可能性.地元での地名度の高さ.口コミによる宣伝.他県からの消費者もいる.フリーマーケットの実施.桑の管理が行える.消費者が多い.うどん以外の名産品.JAの協力.カタログ販売.TVなどでのPR活動,などである.

脅威について,大規模市場から遠い.抹茶のお菓子と区別しにくい.地元以外での知名度の低さ.景気が悪い.価格競争にまきこまれる.競合商品がある.取扱店舗数が少ない.獣害がある.資金不足である.TV等で紹介されると品切れ状態になる.気候変動による収穫のばらつきがみられる.視察などにより技術が流出する.他の地域より安価なため品質が疑われる,などである.

対策について,PR活動とその拡大(桑自体の知名度,南川の自然薯の独自の魅力,生産者の苦労,獣害状況,対策,栽培体験商品など).流通経路の開拓.地元住民への呼びかけ.生産量を増加させ売り上げから運営を行う.より効率的なPRを行う.新規地域への進出をめざす.宣伝を利用する.桑や桑園の状況を知ってもらう.地域総出での獣害対策.地域の人々に対するアピール,などである.

4. 来訪者に関する意識分析

(1) 単純集計結果

来訪者100人から会場において任意にアンケート用紙に記入いただいた.居住地は,地元のさぬき市大川町11,大川町以外のさぬき市33,1時間弱かかる高松市24,隣接の東かがわ市12,三木町12である.来訪の目的は自然薯を買いに55,食べ歩きコース27,雰囲気を味わいに24,山里が好き8,南川の人たちに会いに5,歌や踊りのイベントに5,自然薯粉末を買いに2,などである(複数回答).来訪の人数は,2人で53,3人で21,1人で12,4人で8,5人以上で6,と複数人で連れ立っての来訪者が多い.

参加回数では,1回28,3回24,5回以上23,2回18と5回以上が多い.滞在時間では,1時間以内57,30分以内21,2時間以内14,3時間以上5,である.全体の評価をみると,非常に良い14,良い49,普通29,悪い2,非常に悪い1,である.自然の家について,非常に良い19,良い49,普通24,非常に悪い1,である.自然薯の価格について,非常に良い2,良い12,普通,非常に悪い1,無回答6,である.みろく産直について,非常に良い14,良い64,普通18,悪い1,無回答2,である.自然薯粉末について,非常に良い9,良い36,普通35,無回答14,である.南川のイメージについて,非常に良い27,良い51,普通21,である.自然薯について,非常に良い29,良い50,普通17,悪い1,無回答3,である.

1は,全体の評価と目的との関係を示した.なお,度数は複数回答である.全体の評価は,「1:非常に悪い,2:悪い,3:普通,4:良い,5:非常に良い」とし,目的は,「A:自然薯を買いに,B:自然薯粉末を買いに,C:南川の人たちに会いに,D:食べ歩き,E:歌や踊りのイベントに,F:雰囲気を味わいに,G:山里が好き,H:その他」である.目的別にみると,自然薯を買いにが最も多く,食べ歩きコース,雰囲気を味わいに,山里が好き,の順である.D,Gを目的とする場合に全体の評価が低いことがめだっている.自然薯祭り,自然薯の価格,自然の家,みろく産直,自然薯粉末,南川に対するそれぞれの満足度,来訪の目的,滞在時間に関して,来訪者の在住地別には特に注目する点はない.

表1. 全体の評価と目的
全体の評価 合計
1 2 3 4 5
目的 A 0 1 16 28 7 52
B 0 0 2 0 0 2
C 0 0 0 2 3 5
D 1 0 6 13 5 25
E 0 0 2 3 0 5
F 0 0 6 14 3 23
G 1 1 2 1 2 7
H 0 0 1 1 0 2
合計 2 2 35 62 20 121

1)全体の評価は1:非常に悪い,2:悪い,3:普通,4:良い,5:非常に良い.

2において,全体の評価はほぼ3以上であり,低い回答者は5回,3回,1回と参加回数にかかわらず,わずかだがみられた.その他には,関連性についての特徴点はみられない.

表2. 全体の評価と参加回数
全体の評価 合計
1 2 3 4 5
参加回数 1回 0 1 4 12 8 25
2回 0 0 6 10 1 17
3回 0 1 10 10 2 23
4回 0 0 2 3 0 5
5回 1 0 6 13 3 23
合計 1 2 28 48 14 93

1)全体の評価は表1と同様.

(2) コレスポンデンス分析
図1.

全体の評価と参加回数

コレスポンデンス分析とは,集計済みのクロス集計結果を使って,行の要素(クロス集計でいう表頭にある項目)と列の要素(表側)を使い,それらの相関関係が最大になるように数量化して,その行の要素と,列の要素を多次元空間(散布図)に表現するものである.基本的に数量化理論の第III類と同様である.

1は,全体の評価と参加回数との関係を示した.1回目の評価は非常に良い,2回目,3回目,では良いから普通になり,4回目では普通になり,こうしたプロセスを経て,5回目以降になるとリピーターになる.悪い,非常に悪いは,ごく限られている.

図2.

全体の評価と目的

2は,全体の評価と目的との関係を示した.二値データのコレスポンデンス分析によると,誰と誰とが似たパターンかを発見できる.図中の番号は回答者番号である.目的(表1のAからH)の中で,自然薯を買いに,食べ歩きコース,雰囲気を味わいになどへの回答が多いことを裏付けている.回答者4,14.などは他とは異なる回答パターンをしており,目的では「自然薯粉末を買いに」だけが特異であることが示されている.

(3) 順序ロジットモデル

3は,全体の評価と目的や個人属性との関連性を示した.順序ロジット分析の推計結果である.自然薯祭りへの来訪者の全体の評価を説明する6つの要因,居住地,その他をあげて推計した.被説明変数の全体の評価は5段階で,説明変数も同様に5段階評価である.

表3. 全体の評価と目的などとの関連性(順序ロジット分析推計結果)
説明変数 係数 標準誤差
自然薯の価格は適切 0.679 0.469
自然の家での販売 −0.689 0.666
みろく産直での販売 2.063 0.696***
自然薯粉末 0.587 0.458
南川のイメージ 1.343 0.628**
自然薯のイメージ −0.569 0.483
来訪回数 −0.103 0.193
一緒に来た人数 0.074 0.270
滞在時間 0.219 0.329
自然薯粉末を買いに −3.358 1.599***
南川の人たちに会いに 2.015 0.997**
さぬき市大川町 −1.134 1.599
さぬき市大川町以外 −1.691 1.398
東かがわ市 −2.254 1.516
三木町 −1.974 1.552
高松市 −1.113 1.425
観察値 78
対数尤度 −62.733

1)***,**,*は,1%,5%,10%の水準で統計的に有意であることを示す.

推計結果を符号条件についてみる.カッコ内はp-valueである.符号条件がプラスの係数は,南川のイメージ(0.032),南川の人に会いに(ダミー変数)(0.043),みろく産直での販売(0.003),である.自然薯の価格は適切(0.148),一緒に来た人数は(0.785),滞在時間(0.508)などと有意水準が低い.逆にマイナスの係数は,自然薯粉末を買いに(ダミー変数)(0.003)の有意性が高いほかは,自然薯のイメージ(0.239),自然の家での販売(0.301),来訪回数(0.594)などは有意性が低い.

5. 結論

地域特産物づくりの課題としては,次の3点である.第1に,桑葉,自然薯粉末の需要に応じた計画生産を行い,生産者主体と実需者の十分な連携を進める.第2に,継続的な桑園の管理方法を再検討する.第3に,さぬき市商工会との定期的,継続的な連携を進める.

来訪者は地元からが多いが,高松市から(25%)の参加者もリピーターになっている.これには南川に実家があるなどして,たびたび南川を訪れるもの,定年後に戻ってきているものなどを含む.

また,3回目になると良いと普通との回答の分かれ目となっている.「じねんじょまつり」では自然薯研究会の取組みとして,特産物の販売だけが取り上げられ自然薯を買うことを目的とする来訪者が多いものの,リピーターになって地区を支援してもらうことへの認識が高まってきており,その他の催し物も充実させることが必要となる.いのしし鍋などの婦人会の活動や,地元製作品の販売などの活動への取り組みも模索されている.ただし,山里が好き,雰囲気を味わいにという来訪者にとっては,にぎやかな歌謡ショーなどとは異なるものを期待してきていることが考えられる.

人口の減少が進み消滅が懸念されるなか,「近接別居」の観点から,地区の魅力を増して家族で楽しめるイベントの内容の充実が有効である.

今回の結果は①個人属性(男女,年齢など),②イベント会場において実施されていることなどを説明変数に加えて推計することで改善されることが考えられる.限られた解答時間で来訪者に負担感が少ないアンケート様式の開発が,残された課題である.

引用文献
  • 内田 治(2006)『すぐわかるSPSSによるアンケートのコレスポンデンス分析』東京図書.
  • 乙井継巳・三木嘉代子・柴田裕子・川地保弘・井口里香・藤井寿江・香西敬子(2009)「自然薯と桑を活用した中山間地振興」東讃農業改良普及センター資料.
  • 小田切徳美編(2013)『農山村再生に挑む』,岩波書店.
  •  渋谷 美紀(2009)「生活文化キャピタルの再構築にみる豊かさの諸相」『農林業問題研究』44(4),20–31.
  • 徳野貞雄(2007)『農村の幸せ,都会の幸せ』,日本放送出版会.
  • 林 裕子(2009)「総合的な獣害対策に取り組む地域持続可能な日本の農業を考える」東讃農業改良普及センター資料.
 
© 2015 地域農林経済学会
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