2018 年 54 巻 3 号 p. 133-140
近年,携帯電話を利用した銀行取引,いわゆるモバイルバンキング(Mバンク)が,より多数の人々の銀行サービス利用を企図して低所得途上国で導入されている.しかし,Mバンク利用に関する実証研究はバングラデシュなどの途上国では限定的である.本研究の目的は,バングラデシュ農村世帯がMバンクに加入する要因を明らかにすることである.計量モデルでは,Mバンク加入の有無(または時期)を被説明変数,Mバンクがバングラデシュに導入される直前の世帯主及び世帯の属性を説明変数として設定した.多項ロジット・モデルの推定から,教育水準,性別等の世帯主属性やMバンクが導入される前の携帯電話の保有がMバンク加入に有意な影響を与えていたことこが見出された.