2019 年 55 巻 1 号 p. 63-70
ナイジェリアは経済発展の過程で食用穀物の生産性向上が停滞しており輸入が増大している.食用穀物の生産性が停滞する要因の一つは,高収量の改良技術が利用可能であるにもかかわらず生産農家は低収量の伝統的な品種を採用する傾向があることである.本稿の目的は,アフリカ稲作センターが収集した2010年度の稲作農家の個票データを用い,ナイジェリアの主要穀物であるコメの改良高収量種子採用を促進する要素を明らかにすると同時に,それが農家の厚生におよぼす効果を計量経済学的分析手法を用いて評価することである.しかし,新品種の導入が農家の厚生におよぼす影響を評価するには,「自己選択バイアス」の問題を考慮する必要がある.そのため,本稿では「内生的処理効果モデル」を援用する.分析結果は,稲作改良技術は農家の厚生を高め,新技術普及のためには信用供与,技術普及事業が効果的であることを示唆している.