抄録
県内の自家製しょっつるに関する聞き取り調査を行った結果、秋田県沿岸南部の由利地方では、昔からしょっつるの原料としては通称コアミ、学名コブヒゲハマアミ Acanthomysis psudomacropsis(TATTERSALL)(あみ目あみ科) を用いており、ハタハタはもちろん他の魚種は使用されていなかった。
現在でも2月から4月にかけて漁獲されるコアミは、鮮度低下が早く漁獲時期の限定から生食・塩辛・塩むし・かき揚げとして、地元で利用されてきた。また、コアミはその時の水揚げ量で価格が極端に変動するため、この地区の漁協婦人部を中心に、価格の下がった時にコアミの自家製しょっつるの漬け込みが行われている。仕込み方法は、獲れたコアミに塩を3割ないし5割加え、一夏越してから食している。聞き取り調査の際、採取したサンプル間で色・味・香が異なっていた。今回、コアミを用いてしょっつるの仕込みを行い、食塩濃度の違いと酵素剤添加効果について、しょっつる諸味の熟成期間中における成分の経時変化
と品質について検討する。