抄録
本研究では、参加型開発においてしばしば用いられる無償供与 (現金、食料、種子、肥料など) の問題点をめぐる最近の議論を概略し、マラウイの小規模灌漑事業を事例とし代替手法のあり方について考察する。多くの援助事業で用いられている無償供与は、農民の援助慣れを引き起こすという弊害がある。事例事業は、無償供与を一切排除することで農民と対等な関係を確保し、灌漑技術を現地事情により即したものにする知識基盤を構築している。無償供与によって強引に技術を移転するのでなく、移転に必要な環境を整える手法は、将来の援助事業に重要な意味を持っている。