症例は73歳女性.抗ウイルス療法後C型肝硬変で当院通院.2005年の初診時内視鏡検査で胃穹窿部に孤発性胃静脈瘤を指摘され経過観察を続けていたところ,2022年の内視鏡検査で胃体上部小彎に30mm大の境界明瞭な発赤陥凹性病変を指摘された.生検で高分化型腺癌が認められ,内視鏡所見から分化型粘膜内癌と診断した.内視鏡的切除適応病変と考えられたが,穹窿部の胃静脈瘤の術中損傷が危惧されたため胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性静脈瘤塞栓術を行った.胃癌に対する内視鏡的治療に先行する胃静脈瘤塞栓術は静脈瘤出血の予防に有効であり,塞栓術後に内視鏡治療の障害となる変化も認めず,ESDにて胃癌は完全切除された.