2024 年 2023 巻 27 号 p. 17-27
少子高齢化が進行しダイバシティ社会への理解が深まっている。世代や性別により生活行動圏が異なり、行動範囲は平日・休日そして一日でも時間軸で変化する。これら属性による人流挙動をアクセシビリティ評価に組み込むため、滞在地に着目した多目的施設配置モデルを構築する。関東7都県を対象とし、世代別・性別のクロス分割情報を有する周辺5県も含めた12都県598市区町村の1512時点の行政区画人流データを利用する。本研究の目的は、1512個の目的関数からなる多目的最適化問題のパレート最適解を解析的に求め、最適点や最適目的関数値の齟齬を数値化しその規模を解釈することにある。その際、パレート集合の直径という幾何学情報が地理的齟齬のみならず費用に関する齟齬の最大値を与えることを理論的に示す。