芸術科学会論文誌
Online ISSN : 1347-2267
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NICOGRAPH 2015論文特集号
Storyline を適用した実数値型時系列データ可視化の一手法
八木 佐也香伊藤 貴之高塚 正浩
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2015 年 14 巻 5 号 p. 188-197

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抄録

我々の身の回りには数多くの時系列データが存在しており,その分析において,可視化は有効である.代表的な時系列データの可視化手法として,折れ線グラフとヒートマップがあるが,いずれの手法もデータの部分的な特徴と全体のクラスタの変遷の両方を同時に観察するのは難しい.本論文では実数値型の時系列データを対象に,要素間の交流や共起性の表現に用いられ るstorylineによる可視化手法を提案する.本手法ではまず,実数値の類似度にもとづいて局所時間帯ごとに要素をクラスタ リングする.続いて隣接する時間帯間にてクラスタ群のマッチングを適用し,その結果に沿ってクラスタの配置を決定する. この配置結果にしたがって各要素を描くことで,類似した要素同士が画面内で近接するようなstoryline を描く.また,各要 素の実数値変化の重要度にもとづいて要素の不透明度を設定することで,重要度の高い部分を強調し,ユーザの知覚効果の高 い可視化結果を得る.さらに本手法では,storyline上で興味深い局所を対話的に指定することで,選択した要素群の実数値 変化を別の画面領域に表示するというインタラクション機能を持つ.本手法を用いてクラスタの時間的変遷を観察すること により,長時間にわたって類似した値/外れ値を有する要素だけでなく,所属するクラスタが頻繁に切り替わるような要素に 着目しやすくなる.また,インタラクション機能を用いて元の数値情報を参照することで,クラスタの切り替えの要因を分析することが可能である.

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