2015 年 27 巻 p. 23-28
デジタルビデオ画像による角度測定の精度については報告されているが,被写体を撮影画面の中央付近で,かつ正投影面に撮影しなければその精度は高くない.臨床場面で矢状面上の歩行を分析の対象とした場合,これらの条件を満たすことは困難である.そこで本研究の目的を,プラスティックゴニオメータを膝関節に見立て,撮影画面を細分化し左端から右端までの範囲で,正投影面および15°刻みで45°まで回転させた斜投影面において,5°以内の測定誤差で角度測定を行える撮影画面の範囲を明らかにすることとした.デジタルビデオ画像から測定された角度データを,歩行の進行方向と下肢回旋方向を想定して分類した.その結果,下肢外旋位想定時の測定精度は,斜投影面の回転角度が大きくなるにつれ撮影画面の中央を通過した後半以降で高くなり,下肢内旋位想定時の測定精度は,斜投影面の回転角度が大きくなるにつれ撮影画面の中央よりも手前で高くなった.これは視差の影響やビデオカメラのレンズ特性によって生じたものと考える.