2016 年 28 巻 p. 13-19
本研究の目的は,脳卒中専門病院で計画された褥瘡対策の内容を調査し,理学療法士の関わり方を検討することである。対象は,回復期リハビリテーション病棟に入棟した脳血管障害患者121例。方法は,診療録から「褥瘡に関する診療計画書」に記載された車イスに対する褥瘡対策計画数とその内容,7種の危険因子の有無,同時期に評価されたFunctional Independence Measure(FIM)を収集した。検討は,褥瘡対策計画数に関与する因子の抽出を行った。結果,対象群の約8割が褥瘡対策を必要とした。褥瘡対策計画数に関与する因子は,FIM運動項目合計得点,イス上での姿勢保持・除圧,皮膚湿潤の有無であった。皮膚湿潤は,尿失禁が問題になること多いため,理学療法士の関わり方として,急性期治療時から排泄動作自立を目指したアプローチが褥瘡対策に繋がる可能性が示唆された。