東北理学療法学
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研究論文
変形性膝関節症患者の重症度別における膝関節の臨床症状と後足部変形との関係
伊藤 亮太尾田 敦石川 大瑛前田 健太郎横山 寛子川口 陽亮長澤 麻耶山舘 菜緒佐々木 和広
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2019 年 31 巻 p. 13-19

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抄録

変形性膝関節症(以下,膝OA)では後足部回内変形も生じるが,膝OAの重症度や膝関節の臨床症状との関係は明確ではない。よって,膝OA患者における膝関節の臨床症状と後足部回内を重症度別で比較し, その関係性を検討した。

方法は,膝OA患者を対象として,膝関節臨床症状と足部アライメントを重症度別で比較し,後足部アライメントと膝関節の臨床症状との相関関係を分析した。

結果は,膝OAが重症であるほど,膝関節の内反と伸展制限は強く,足部は回内を示した。一方,膝OAの重症度と膝関節の疼痛の間には有意差を認めなかった。さらに,膝関節内反が強いほど,距骨下関節は回内し,膝関節伸展制限が強いほど,距骨下関節回内と踵骨外反は増加した。また,膝関節の疼痛が強いほど,踵骨外反は増加した。

以上より,膝OAでは下腿の外側傾斜を距骨下関節回内によって代償すること,膝関節伸展制限によって 足関節が背屈し,距骨下関節回内や踵骨外反が増加すること,膝関節内側への荷重量を軽減させるために踵骨外反が増加することが考えられた。

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© 2019 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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