2019 年 31 巻 p. 20-26
本研究の目的は,脳卒中片麻痺患者の重複歩距離に関連する因子を検討することである。脳卒中片麻痺患者31名を対象とし,デジタルビデオカメラで矢状面上の歩行動作を撮影する。その撮影像をもとにパソコン上で重複歩距離と,麻痺側・非麻痺側の立脚前期・立脚後期における腓骨頭・大転子の進行方向への移動距離をImageJにて測定する。統計的解析は,重複歩距離を従属変数,麻痺側・非麻痺側の立脚前期・立脚後期における腓骨頭・大転子の進行方向への移動距離と,性別,年齢,身長等を独立変数とした重回帰分析を実施する。その結果,麻痺側立脚後期における大転子の進行方向への移動距離(麻痺側立脚後期大転子移動距離)のみが選択された。これより,臨床で行われる観察による歩行分析の際,麻痺側立脚後期大転子移動距離は,重要な指標になると考える。