日本臨床外科医学会雑誌
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緊急手術を必要とした旁十二指腸内ヘルニアの1例
若杉 純一, 塩谷 陽介, 池田 典次, 安田 三弥
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1984 年 45 巻 2 号 p. 167-170

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抄録
旁十二指腸ヘルニアは腹腔内ヘルニアの一種で,内容が十二指腸空腸陥凹をヘルニア門として後腹腔に進入する内ヘルニアである.このうち,ヘルニア内容が右方に向い,上行結腸後方に嵌入する右旁十二指腸ヘルニアは極めて稀な疾患である.最近,著者らは術前診断不明で急性腹症として開腹し,右旁十二指腸ヘルニアを発見,根治的処置を行った1例を経験したので報告する,症例は16歳,男で学童期以来反復する腹痛の既往があり,腹部激痛,嘔吐を主訴として受診したが,診断を確定できないまま急性腹症として緊急開腹術を受けた.開腹時にTreitz靱帯の下後方にある鶏卵大のヘルニア門から小腸の大部分が右側の後腹膜腔に進入しているのがみとめられ,上行結腸側方には著明に膨隆した壁側腹膜をとおして後腹膜腔内に嵌入した小腸塊が透見された.腹腔から壁側腹膜を介して嵌入小腸を圧迫しつつ,これをヘルニア門から順次引き出し,腹腔内に還納した.ヘルニア嚢は翻転してヘルニア門のレベルで切除し,ヘルニア門を縫合閉鎖した.経過は良好で術後9日目に退院した.旁十二指腸ヘルニアのうち,右旁十二指腸ヘルニアは左旁十二指腸に比して極めて稀なもので,著者らが調査しえた限りでは,本邦における報告例は1980年までに14例にすぎない.本症は他の腹腔内ヘルニアにおけると同様,術前にそれと診断されることは例外的とされているものの,反復する腹痛の既往をもち,腸通過障害を示す症例の診療にあたっては,他にその原因を見出しがたい場合,常に本症の存在を念頭においておく必要のあることを強調したい.
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© 日本臨床外科学会
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