人類學雜誌
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陸上運動および水泳運動時における呼吸循環機能について
野村 武男
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1977 年 85 巻 3 号 p. 209-218

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抄録

Water immersion時における呼吸循環機能が陸上運動時と比較し,どのような因子で影響されるかをけん引負荷水泳とトレッドミル運動時において検討した。対象はAge group水泳クラブに所属するアメリカ人男子9名(18-21才)で,それぞれけん引負荷水泳とトレッドミル運動の二つの状態において,VO2, VE,VT, f, HR, DLco, Vcを測定した。VEは陸上と同じ運動強度において水泳運動時が低い値を示した。これは,主に水泳運動時のf の減少によるものと推定された。HR は Submaximal において水泳運動時の方が低い値を示した。これは運動体位とimmersionによるBradycardiaの影響と考えられる。しかしMaximal運動時においてその差はほとんどなくなった。水泳運動時のDLcoは運動強度に関係なく常に最大に近い値を示し,従って運動負荷によるVO2の増大にも無関係であった。一方,陸上運動時のDLcoは従来云われている如くVO2の増大に比例して増加するのが認められた。Maximal DLcoについては両運動時において,ほぼ同じ値を示した。Vcに関しては陸上運動,水泳運動時ともVO2と直線関係を示したが,水泳運動時の方が常に高い値を示した。以上の事からSubmaximal運動時においてVE, HR,DLco, Vcはimmersion, posture等の影響をうけるが,Maximal運動時におけるHR,DLcoは陸上運動とほぼ同一でimmersion, posture等の影響よりO2 demandにより直接的関与があると推測された。

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