人類學雜誌
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床反力解析からみた高齢者歩行の特徴
山田 忠利真家 和生近藤 四郎
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1988 年 96 巻 1 号 p. 7-15

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抄録
高齢者の歩行の特徴を調べるために,歩行時における床反力解析を行った.被験者は,23才より78才にわたる66名であり,通常の歩行速度および歩容を再現して裸足で歩行実験を行った.その結果,前後方向分力の制動および推進の基準化された力積は高齢者では減少すること,左右方向力の蹴り出し時の最大値および基準化された力積は高齢者では増加すること,および垂直方向分力の第1ピーク値および第2ピーク値は高齢者では減少し,極小値は逆に増加することが示された.また,歩幅,歩行速度および体力の指標としての握力は,高齢者では明らかに減少した.結論として,高齢者歩行の特徴は,前後方向分力の弱い,上下運動の少ない,歩幅の小さい低速歩行であること,また,主成分分析の結果から,20才代,30才代,40才代の主成分構成はほぼ同じであるが,50才代,60才代,70才代では各々で異なり,50才代から歩行の内容が変化してくることが示唆された.
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