人類學雜誌
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日本古人骨永久歯のエナメル質減形成
山本 美代子
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1988 年 96 巻 4 号 p. 417-433

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抄録
古人骨の歯には,疾患や栄養欠乏など乳幼児期に経験した環境ストレスを示すエナメル質減形成がしばしば認められる。縄文時代から近代に至る日本古人骨の,永久歯におけるエナメル質減形成の出現頻度,形態の観察および発生時期の推定を行うとともに,減形成についての研究方法を検討した。その結果,エナメル質減形成の出現頻度には性差はないが歯種差があり,下顎犬歯が観察対象歯として最適と思われた。出現頻度の時代変化をみると,縄文時代よりも古墳時代の方がやや低く,江戸時代ではかなりの高頻度を示し,近代に至って低下した。また減形成の発生は全時代を通じて生後4~5年に多く,3年未満にはほほとんど認められなかった。
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