2022 年 16 巻 1 号 p. 1-7
持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion: CSII)は、血糖変動を安定させ、生活に自由度を与える等の有用性がある治療法として知られる。その一方で、使用機器や操作方法に関連したトラブルから高血糖を生じるケースやCSII用輸液セットの刺入部位の皮膚のトラブルのためCSIIの中断を余儀なくされたケースも報告されており、その発生機序や原因について検証することは重要である。しかし皮膚合併症において、その発症のメカニズム等にまで言及した報告例は少ない。
今回我々は、CSII用輸液セットの刺入部位から皮下膿瘍形成に至った症例を経験し、その膿瘍発症のメカニズムについて検討した。今後、CSII実施患者の療養指導に関わる医療関係者にとって、有益な情報となることを期待して報告する。