Anthropological Science (Japanese Series)
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短報
高知県佐川町穴岩の穴から産出したヒトを含む哺乳類遺骸群集(予報)
西岡 佑一郎
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キーワード: 哺乳類, 縄文時代, 完新世, 四国
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2015 年 123 巻 1 号 p. 41-46

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抄録
高知県高岡郡佐川町西山耕にある穴岩の穴から,完新世の哺乳類遺骸群集が見つかった。遺骸群集の中には,ヒトの遊離歯が4点含まれており,縄文人に特徴的な咬合面の著しい磨耗が観察された。その他,シカ属の一種やイノシシをはじめ,多種多様な哺乳類の遺骸が産出したが,全て現生種で構成されており,絶滅種は含まれていない。産出した遺骸群集の中から,ニホンザルとシカ属の一種の骨を用いて,加速器質量分析法による放射性炭素年代測定を行った結果,8278 ± 29 yBPと9499 ± 31 yBPという縄文時代早期に相当する14C年代値が得られた。さらに,南向きに開口した洞口,密集した動物遺骸,強く摩耗したヒトの歯,剥片や二枚貝といった人為的遺物の産出を総合的に考慮すると,穴岩の穴は洞窟遺跡である可能性が高い。穴岩の穴の近隣には,不動ガ岩屋洞窟遺跡や城ノ台洞穴遺跡のような縄文遺跡が点在しており,これらとの関連が示唆される。
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© 2015 日本人類学会
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