北海道•東北•関東•東海•中国の五地域の縄文人および北海道の続縄文人について下顎骨5項目の計測データを解析した結果, 北海道の縄文人と続縄文人の下顎枝形態に特異性が示された。北海道地域の集団は, 本州の縄文人に比べ下顎枝の幅が有意に広く, 下顎枝幅の相対的な大きさを表す示数でも両者の間には明確な差が認められた。この差はマハラノビスの距離を用いた多変量解析の結果からも明らかであった。さらに, 北海道アイヌと比較したところ, 縄文人からアイヌへと下顎枝の縮小化傾向が見受けられたが, 北海道では時代を経ても相対的には依然として幅広い下顎枝を有することが示された。