2022 年 2 巻 3 号 論文ID: SC-2022-24
発話の明瞭さは、発話障害において重症度の指標ともなり、 その評価が重要とされるが,臨床では聴 者による了解度という印象評価で判定される.本研究は,音読音声だけでなく自由会話音声でも発話の明瞭さをよ り客観的に捉える方法として,「非分節境界率」 (スペクトログラム上でモーラ境界が見つけられない箇所の出現頻 度)を提案する. これをもとに健常者と患者の音声を調べた結果,従来の発話明瞭度と対応が見られた. また発話 明瞭度と構音の歪みとの関係,音読と自由会話の構音の違いについても知見を得ることができた.モーラ境界の分 節性に注目した本分析方法は,自由会話音声の構音の歪みや発話の明瞭さをより客観的・定量的に捉えることがで きる.