人工内耳 (以下CI) と補聴器 (以下HA) の両耳装用児5例 (CI+HA群) とCIのみ片耳装用児5例 (CI群) のCI対側耳裸耳聴力, 装用閾値, 語音聴取能力を比較し, CIとHAの両耳装用児とCIのみ片耳装用児の差異点, HA装用・非装用の理由について検討し, 以下の知見をえた。
CI+HA群は, CI対側耳の裸耳聴力が平均90dBHL台で, CI群より良好であり, CI+HA群のCIとHAの両耳装用では, CI単独に比べて語音聴取検査成績の改善を認めた。
CI+HA群では, 児がCI対側耳へのHA装用を嫌がらず, きこえの改善を自覚しており, CI群では, 児がCI対側耳へのHA装用に対して否定的であった。
CI対側耳へのHA装用は, CI対側耳がHA装用によって聴覚活用可能かどうかの裸耳聴力の評価と, CIとHAの両耳装用による補聴効果の評価が重要であり, 児の反応や変化をよく観察して装用指導する必要があると考えられた。