AUDIOLOGY JAPAN
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第54回日本聴覚医学会主題演題特集号
「両耳補聴」 「特発性両側性感音難聴」
人工内耳装用症例における静寂下・騒音下での補聴器装用効果の検討
安井 拓也樫尾 明憲尾形 エリカ赤松 裕介鈴木 光也山岨 達也
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2010 年 53 巻 2 号 p. 129-134

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抄録

両耳聴取の利点は様々認められており, 海外では両耳人工内耳により, 聴取成績の向上が報告されている。片耳装用しか認められていない本邦では, 人工内耳の対側耳に補聴器を装用することが一般的である。今回我々は, 対側補聴器併用の利点について, 日本人患者で検討した。静寂下条件では, 片側人工内耳装用と, 人工内耳と対側補聴器併用の場合との間に, 聴取成績に有意な違いはなく, 装用期間等ほかの要因を考慮しても違いはなかった。騒音負荷条件でも, 補聴器併用による有意な正答率の向上は認められなかった。今回の研究で, 対側補聴器の効果が認められない理由として, 人工内耳の適応条件が厳しいこと, 症例数不足により有意差が出なかった可能性, 日本語と欧米言語の言語的な特徴の違いによる要因などが考えられた。今回の結果から, 人工内耳装用者の聴取能力を向上には, 両側人工内耳装用などにより対側耳をより積極的に活用することが必要と考える。

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© 2010 日本聴覚医学会
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