AUDIOLOGY JAPAN
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純音マスキングによるderived ABR
蘆原 郁吉野 公喜
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1989 年 32 巻 2 号 p. 112-117

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抄録
Pantev Ch. and Pantev M. (1982) は, 純音maskingによるderived ABRを記録し, 0.5kHz derived ABRでは, 潜時9.2ms-11.2msに, 1kHz derived ABRでは, 潜時7.7ms-9.9msに, それぞれ反応成分が見られたとして, それらをW7, W6と命名し, 0.5kHzや1kHzといった低周波数帯域での聴力検査の指標となりうると報告している。 本研究では, 0.5, 1, 2, 4kHzの4つの周波数のそれぞれについて純音maskingによるderived ABRを記録し, Pantevらの研究報告を再検討した。
その結果, 0.5kHz derive ABRでは, 潜時7ms台に, また, 1kHz derived ABRでは, 9ms台に, それぞれ, PantevらのW7, W6に相当する成分が明瞭に見られたのに対し, 2kHzや4kHzのderived ABRでは, そのような成分は認められず, これらの成分が, 低周波数帯域でのABR聴力検査の指標となりうることが確認された。
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© 日本聴覚医学会
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