AUDIOLOGY JAPAN
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感音難聴と加齢 特発性両側性感音難聴と加齢
岡本 牧人
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1996 年 39 巻 2 号 p. 122-129

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抄録

特発性両側性感音難聴 (以下, 特難) 患者の聴力が加齢によってどのようになるかを検討した。 平均観察期間10年の110名の特難を人間ドック受診の成人1377名の聴力と対比した。 症例数が少ないため, 年齢層別平均聴力からは加齢変化について言及はできなかった。
10年間に特難は疾患そのものの悪化を示した。 悪化はどの年代でも, また, どの周波数にもほぼ同程度に生じた。 高齢者の特難で高音域の悪化幅が特に増大することはなかった。
散布図の検討から特難の聴力悪化のきっかけは加齢変化と同様で, ある年齢よりもある聴力程度が関与していると結論した。
聴力分布の検討から特難と加齢変化の内耳障害部位が同一であると推測した。 両者の障害部位が同じなので障害がより強い特難による難聴の悪化は加齢による難聴の悪化を隠蔽すると考えた。

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