両側変動難聴性メニエール病5例と対側型遅発性内リンパ水腫3例を呈示し, 長期間の聴力変動をもとに先行耳と後発耳との相互関係について考察した。 両側メニエール病の5例はいずれも左右の聴力がシーソー様に変動する極めて稀な症例であった。 5例中3例で後発耳の聴力が先行耳より悪化し, 聴力変動の際にはめまい症状も随伴することが多かった。 シーソー様変動聴力の原因は左右の内リンパ水腫病態の位相にズレが生じるためと推測した。 対側型遅発性内リンパ水腫のうち2例にも同様のシーソー様変化を認め, 両側メニエール病と遅発性内リンパ水腫の両者の特徴を有した移行型と考えられた。 両側メニエール病と対側型遅発性内リンパ水腫には類似点と相違点があり, 完全に同一の病態とは断定できない。