AUDIOLOGY JAPAN
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メニエール病の臨床経過について
聴力障害の進行過程を中心に
伊藤 彰紀坂田 英治大都 京子
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1996 年 39 巻 2 号 p. 171-177

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抄録

1年以上の経過を観察し, しかもその観察期間中に純音聴力検査を4回以上施行し得た一側性メニエール病の68例について検討した。 男女別内訳は, 男性27例, 女性41例。 対象聴力図は合計348個。 これら68症例の受診時年齢は44.8±11.2歳であり, 発症年齢は40.0±11.4歳であった。 聴力型を検討すると, 罹患期間が長くなるにしたがって, 低音障害型と山型が減少し, 高音漸傾型と水平型が増加した。 初診時の7周波数平均聴力は40.3±14.9dBであり, 一方最終聴力検査時の7周波数平均聴力は45.7±17.6dBであり両者間に有意差を認めた (p<0.05)。 聴力変動としては低-中音域の変動幅が大きかった。 周波数別ではとくに250Hz, 500Hz, そして1000Hzの聴力変動が大きかった。 鼓室内薬剤注入療法のめまいに対する治療成績と聴力レベルとの間に正の相関が認められ, 初期例でめまいの治療成績がより良好であることが確認された。

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